根っこが知りたい

経済などの「なぜ」「どうして」を突きつめて考えるブログです。

結局、量的緩和とは何だったのか?

現在もおこなわれていますが、はじめられてから20年ほど経つので、ちょっと振り返ってみました。

 

量的緩和とは何か

中央銀行が不況のときにおこなう「金融緩和」のひとつのやり方です。金融緩和とは「世の中のお金の量(マネーストック)を増やす」政策で、「これによって売り買いを活発にしてもらい、物価を上げよう」という目的でおこなわれます。

普通は「金利」を下げて、お金を借りやすくすることでこれをおこなうのですが、民間がお金を借りてくれなくなったので、日本では2001年から「量的緩和」がおこなわれています。

量的緩和とは マネタリーベースを増やすことで「世の中のお金の量(マネーストック)を増やす」というものです。(マネタリーベースとは何か、はこちらを見ていただけると)

量的緩和はどのようにしてはじまったか

1997年からデフレがはじまり、98年には破綻する銀行がではじめたこともあって、99年から「0金利政策」が実施されました。この政策でおこなわれたのは量的緩和と同じ公開市場操作で、これによって「銀行の準備金を、準備率に足りるように(実際にはそれ以上に)増やしてやる」といったことがおこなわれました。

銀行にとって準備金は「為替取引の仲介をする」「銀行自体の取引(売り買い、貸し借りなど)のお金の受け払をする」「預金者がお金をおろしにきたときに現金として渡す」などの日常業務に使う重要なものです。また、準備金が増えると「その銀行が貸し出し可能な金額」も増えます。

0金利政策によって銀行は、仕事をおこなううえで必要な、十分な準備金を手に入れることができます。また、準備率に足りない場合の罰金を払わなくてすむようになります。

2000年になるとITバブルの影響で景気が上向いてきたこともあり0金利政策は解除されましたが、その後ITバブルが崩壊。景気が後退しはじめて、これを解除したことに批判がおきました。

そして2001年から、デフレを解消するために量的緩和がおこなわれることになりました。

なぜマネタリーベースが増えるとマネーストックが増える(と考えられた)のか?

1つには、すでに書いたように「銀行の貸し出し可能な金額が増えるから」だと思います。

銀行は、借り主の預金口座に入れる、といった形でお金を貸します。つまり、お金を貸すと預金が増えます。準備預金制度があるので、預金が増えれば必要な準備金の金額も増えますが、逆に 準備金が増えれば、それに応じてあずかることができる預金の金額(貸し出せる金額)が増えることになります。

もう1つは、「マネタリーベースが増えるとマネーストックが増える」といった考え方が古くからあるからではないかと思います。これはおそらく、こちらに書いたように、「マネタリーベース(現金)は、信用創造によってお金(民間の預金)を生み出すための基だ」と考えられていたからではないか、という気がします。

実際に何がおきたか

実際には、借金は “お金を借りる側の事情” なので、「たくさん貸せるようになった」といっても借り手は増えませんでした。また、「マネタリーベース(現金)が増えると民間の預金が増える」というのは、少なくとも現金でお金を貸していた時代の話ではないでしょうか。こちらも効果はなかったのではないかと思います。

つまり、はじめた人たちが最初に想定していたような健全な形では、マネーストックは増えなかったのではないかと思います。

とはいえ、現実にマネーストックは増えていきました。

これは、銀行が量的緩和で供給されたお金で国債を買ってその保有残高を増やしながら、一方で、国がそこで得たお金を社会保障費の支払いなどで民間の預金口座に振り込むことで(税収が増えないなかで、国が民間に支払うお金が増えていったことで)おきていたのだと思います。

安倍さん、黒田さんの時代になると、日銀が国債保有残高を急激に増やしていくのにともない(また、長期金利の低下にともない)銀行は国債保有残高を減らしていきました。また、ここ10年ほどは、日銀は銀行からさらに長期の国債*1や国債以外の資産まで幅広く買って、マネタリーベースを増やしてきました。

 

記事一覧

*1:それまでは満期が10年の国債を買っていました